- 作者: 京極夏彦
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2004/09/14
- メディア: 文庫
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「妖怪」はいずこより来るのか…。人の心は闇にあらねども、揺るぎないはずの世界が乱れたとき、その裂け目から恠しきものが湧き出し、取り憑く。他人の視線を畏れる者、煙に常軌を逸した執着をもつ火消し、「海」を忌む小説家…。日常に潜む恐怖を描く十の短篇から成る「京極堂サイドストーリーズ」。
百鬼夜行シリーズの「塗仏の宴―宴の始末」までの7作を読んでから読んだ方がよい。これらの作品の舞台裏で起こっていたことを描いているという設定。元の話を思い出しながら読む。
シリーズ本編の方の作品は、妖怪をモチーフにしていながらも非科学的な現象に依存しない話になっている(唯一、榎木津礼二郎の「能力」は例外か)ところがミソだと思うのだが、この短編集は逆に妖怪による怪異を積極的に起こさせている。
それだけに、どの作品にも推理小説とは違った味わいがある。中でも「火間虫入道」は印象に残る話だった。それと最後の「川赤子」。全てはここから始まったわけで、演出効果満点。