- 作者: 京極夏彦
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2005/09/15
- メディア: 文庫
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「推理はしないんです。彼は」。知人・大河内の奇妙な言葉にひかれて神保町の薔薇十字探偵社を訪れた「僕」。気がつけば依頼人の自分まで関口、益田、今川、伊佐間同様“名探偵”榎木津礼二郎の“下僕”となっていた…。京極堂をも巻き込んで展開するハチャメチャな妖快三篇「鳴釜」「瓶長」「山颪」を収録。
いずれも探偵・榎木津礼二郎が活躍する。といってもあの奇矯な性格の榎木津を中心にした話というのが成立するのかと訝りながら読んでみると、ちゃんと京極堂が出てきて彼をサポートする役回りになっていたので半分安心、半分ガッカリ。まあそうしないとまともな話になるとは思えない。語り部としては新キャラクター登場。
番外編第1弾の「百鬼夜行 陰」とは違い、説明のつかない怪異は登場しない。そういう意味では本編の流れに沿った、百鬼夜行シリーズらしい作品ばかり。しかし本編の各作品ほどにはスケールの大きくない作品(テーマは勧善懲悪もの、宝探しもの、悪行暴きものという感じか)が連なっていて、しっかり番外編風にはなっている。マイベストを選ぶとするなら2つ目の「瓶長」かな。
相変わらず本編のストーリーと時々からんでくるので、昔の作品を何回か参照しながら読了。次は番外編第3弾の「今昔続百鬼―雲〈多々良先生行状記〉」が待っている。