- 作者: 太宰治
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2005/02
- メディア: 文庫
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それからずっとほったらかしにしていて、本も実家に置いたままになっているのだが、先日ふと本屋で「久しぶりに読んでみるか」と思い、これを買った。当時も特に気に入っていた短編集。表紙は昔の黒っぽいものから明るい感じに変わっている。
読み始めると昔と同じように引きつけられた。やはりよい。表題作「走れメロス」は古典の焼き直し(?)なので特に思い入れはないが、「ダス・ゲマイネ」「富嶽百景」「女生徒」「東京八景」などは太宰の文体と暗さ・なさけなさ加減、そしてその後ろにある美しさというのかひたむきさというのか、そういうものが今でも妙にしっくりくる。「ダス・ゲマイネ」は昔はとても激しい印象を受けたが、今読むとそうでもなくて、また違った味わいがある。
1冊読むと、当然のなりゆきとして他のも読みたくなってくる。これも高校時代とは違い、今は1948年に太宰が死んでから50年(著作権保護期間)以上経っていて、かなりの作品を青空文庫で読むことができるのだが、やはり本を買って読んでみたい。