全脳自由帳

より考えるために書く

富豪刑事(筒井康隆)再読

富豪刑事 (新潮文庫)

富豪刑事 (新潮文庫)

筒井康隆ばかり読んでいたころに読んだ作品。ミステリーの書評を見てまわっていると「ロートレック荘事件」とともに時々見かけるので、久しぶりに読んでみたくなった。

キャデラックを乗り廻し、最高のハバナ葉巻をくゆらせた"富豪刑事"こと神戸大助が、迷宮入り寸前の五億円強奪事件を、密室殺人事件を…次々と解決してゆく。金を湯水のように使って。靴底をすり減らして聞き込みに歩く"刑事もの"の常識を逆転し、この世で万能の金の魔力を巧みに使ったさまざまなトリックを構成。SFの鬼才がまったく新しいミステリーに挑戦する。

富豪刑事の囮」「密室の富豪刑事」「富豪刑事のスティング」「ホテルの富豪刑事」の4編。

他のミステリーをある程度読んだあとに読むと印象が違うかもと思ったのだが、やっぱり筒井作品は筒井作品だった。刑事ものの形式はとっていても、筒井流ドタバタであることに変わりはない。できごとの叙述の順序を入れ替えたり、視点人物をクルクルと替わらせたりといった実験的なこともやっている。

今「富豪刑事」を検索すると、ドラマ版の方ばかり出てくる。こちらは深田恭子演ずる神戸美和子が主人公で、2005〜6年放映。観たことはないのだが、原作とはかなりイメージの違うドラマになっていたに違いない。しかし深田恭子は結構いろんな役をやってるな。今はドロンジョだし。