あちこちでドストエフスキーの「カラマーゾフの兄弟」を絶賛する文章を目にする。別にブームになっているわけではなく、世間でそういう評価なのを私が知らなかっただけだろう。驚異の書評サイト「松岡正剛の千夜千冊」でも第950夜で紹介されている(ネタバレがありそうなので未読)。
それにしても、「『世界最高の小説』の候補」などと書かれていたりするのを見ると、本当なのかと思いつつ興味をひかれる。世界最高の小説なんてものが決められるはずがないが、その候補だと堂々と言えるような作品ならすごい。中でも「大審問官」の部分がすごいらしい。よくわからないが。
しかし、なんといってもドストエフスキーの作品。「罪と罰」同様、読み始めたとしても簡単には最後まで行けないだろうなと思っていると、最近光文社の「古典新訳文庫」から新訳が出た。
世界最高の小説は何か。候補の筆頭につねに上げられるのが、この作品だ。だが、日本では同時に、翻訳が難解とも言われてきた。ドストエフスキー研究者・亀山郁夫は、この訳業を自分の課題として引き受けた。作者の壮絶な「二枚舌」を摘出する新訳は、流れ、勢いを損なわない。人物たちが[立っている]。主人公アリョーシャが、初めてリアルな人間として描かれ、物語を導いていく。
Amazon「カラマーゾフの兄弟」(光文社)第1巻: 出版社/著者からの内容紹介
ロシア文学を原書で読むのは一生無理だろうから、できるだけやさしい日本語訳で読みたい。光文社のは新潮文庫版や岩波文庫版に比べて読みやすくなっているようなので、近いうちに挑戦してみるか。第4巻(で完結らしい)が出たあとで。返り討ちにあわないように心して読まなければならない。