全脳自由帳

より考えるために書く

黒猫/モルグ街の殺人(ポー)

黒猫/モルグ街の殺人 (光文社古典新訳文庫)

黒猫/モルグ街の殺人 (光文社古典新訳文庫)

推理小説の元祖「モルグ街の殺人」はやはり読んでおかなければと思った。ちょうど古典新訳文庫から出ている。

推理小説が一般的になる半世紀も前に、不可能犯罪に挑戦する世界最初の探偵・デュパンを世に出した「モルグ街の殺人」。160年の時を経て、いまなお色褪せない映像的恐怖を描き出した「黒猫」。多才を謳われながら不遇のうちにその生涯を閉じた、ポーの魅力を堪能できる短編集。

「モルグ街の殺人」は中学ぐらいの時に少年少女向けの本(いわゆるジュブナイル版)で読んだことがあったが、どんな話だったかすっかり忘れていた。犯人(?)が誰であったかさえも。おかげで新鮮な気持ちで読めた。よく言われることだが、この「元祖」が密室ものだというのは、推理小説における密室の重要性を示唆しているような気もする。

「黒猫」は高校時代に英語の授業の副読本として辞書を引き引き読んだが、「恐怖」とか「こわい」という単語が入れ替わり立ち替わり出てくるのにウンザリしたことしか覚えていない。改めて読んでみると、独特の雰囲気のホラー小説だった。

他に6つの短編が入っている。これらも独特としか言いようのない作品ばかり。結末にどんでん返しがあるようなことはあまりなく、スーッと終わってしまうのが印象的。