全脳自由帳

より考えるために書く

ブルータスの心臓―完全犯罪殺人リレー(東野圭吾)

ブルータスの心臓―完全犯罪殺人リレー (光文社文庫)

ブルータスの心臓―完全犯罪殺人リレー (光文社文庫)

1989年の作品。

産業機器メーカーで人工知能ロボットの開発を手がける末永拓也。将来を嘱望される彼は、オーナーの末娘・星子の婿養子候補になるが、恋人・康子の妊娠を知り、困惑する。そんな矢先、星子の腹違いの兄・直樹から、同僚の橋本とともに、共同で康子を殺害する計画を打ち明けられ…。大阪→名古屋→東京を結ぶ完全犯罪殺人リレーがスタートした! 傑作長編推理!

このストーリー紹介から倒叙ものかと思ったら、そうではなかった。凝ったしかけが施されていて、謎解きとしてはおもしろい。しかし、いかんせんどの登場人物にも感情移入できなかったので、話に入り込んでいけなかった。

「そんなに簡単に殺人を決意してはいかんだろう」というのは推理小説を読む時には考えてもしょうがないことかもしれないが、この作品についてはどうしてもそう思ってしまう。「自業自得の物語」にしか見えないのである。

大企業でのし上がっていこうとする者の失敗を描いたステレオタイプ的なストーリーに思えてしまうからかもしれない。