
- 作者: 有川浩
- 出版社/メーカー: 幻冬舎
- 発売日: 2010/08/05
- メディア: 文庫
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隣に座った女性は、よく行く図書館で見かけるあの人だった…。片道わずか15分のローカル線で起きる小さな奇跡の数々。乗り合わせただけの乗客の人生が少しずつ交差し、やがて希望の物語が紡がれる。恋の始まり、別れの兆し、途中下車―人数分のドラマを乗せた電車はどこまでもは続かない線路を走っていく。ほっこり胸キュンの傑作長篇小説。
宝塚から始まって、今津線の駅の順に話が進んでいく。ああこういう趣向がウリの連作短編かと思って、あまり期待せずに読み進めたのだが、意外によかった。どの話も温かく、変なひねりや重いところがないので、気持ちよく読める。各駅の細かい情景描写がまた興味深い。私は今津線の駅であまり降りたことがないので、一度行ってみようかと思う。
似たようなエピソードがいくつかあるとか、千里眼すぎる人が出てくるとか、主要登場人物に地元の人がえらく少ない(ついでに、地元で生まれ育ったはずの少女・亜美ちゃんまで標準語)のがちょっと不自然だとか、まあ小さな不満を言おうとすれば言えるのだが、あまり気にはならない。
ストーリーの軸になる登場人物は主に女性。中でも断然ファンになってしまったのはゴンちゃん(美帆ちゃん)。こんなかわいい子がいてくれると幸せだろうなと思う。
あと、「ロックオンする」という言葉を初めて知った。戦闘において目標を照準に捕らえることから、異性にねらいをつけることを言うらしい。