
- 作者: 筒井康隆
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2010/02/01
- メディア: 新書
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なぜそんなアホなことをするのか、そしてアホなことを言うのか? 無益な争いに血眼になり、破綻必至の計画を立て、互いに殺しあうに至るのは、いったいなぜなのか? 文化的文明人を自任する現代人が、いとも簡単に飛び越えてしまう「アホの壁」をめぐり、豊富なエピソードと心理学、文学、歴史ないまぜでつづる抱腹絶倒の筒井流人間論、ついに登場!
「序章」によると、《小生が考えた「アホの壁」とは、養老さんの「バカの壁」のような人と人との間のコミュニケーションを阻害する壁ではなく、人それぞれの、良識とアホとの間に立ちはだかる壁のことである》とのこと。
まずは「人間がアホなことをする原因」をエピソードを挙げながらサラッと分析し、脳科学やフロイトに関する知識を元にした解釈をちょっと加える、という調子で始まる。そのあとどういうふうにエンジンがかかっていくのかと思ったら、ずっとそのままだった。個々の項目について思い当たることは多いのだが、それだけ。ガッカリ。
エピソードばかり延々書き連ねているところがあって、そこで読むのをやめようかと思ったのだが、「いやいや、筒井康隆の本だから」と思ってなんとか読み通した。「終章」を読んで、何が言いたいのか余計にわからなくなった。脳科学やフロイト流解釈についても、「序章」で自ら書いているように単に「俗流」なので、薄っぺらにしか見えない。
筒井氏がなぜこんな本を書いたのか、まるでわからない。仮にこれらが全てわざとやっていることで、全体としてメタな「筒井流パロディ」になっているのだとしても、結局私はついて行けなかった。