- 作者: 北山猛邦
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2007/10/16
- メディア: 文庫
- 購入: 1人 クリック: 20回
- この商品を含むブログ (46件) を見る
終焉をむかえつつある人類の世界。探偵・南深騎と菜美の下に、黒鴣瑠華と名乗る美少女が現れた。眠り続ける美女。蠢く人面蒼。3つの時を刻む巨大な時計。謎が漂うクロック城に二人を誘う瑠華。そこに大きな鐘が鳴り響いたとき、首なし遺体が次々と現れた。驚愕のトリックが待つ、本格ミステリ。
読んでいる最中、それも中盤まではそれなりに雰囲気を楽しめたのだが、終盤にさしかかるとだんだん不満がたまってくる。読み終わって考えてみると、さらに文句をつけたくなるところが目立ってくる。
この作品は「物理トリックにこだわった」ということになっているが、それほど「こだわった」作品だとは感じなかった。主要なトリックは図でズバリと示されているのだが、まずこの図が正確さに欠けるのが少し不満。加えて首切りの理由にガックリ。そんないい加減な(というか不正確な)ことでは納得できない。
話としては、ゴチャゴチャといろんな要素を詰め込みすぎてすっかり消化不良の印象。SEEMとか十一人委員会とか真夜中の鍵とかインサイドとか、どれも扱いが中途半端でよくわからない。そもそも「終焉をむかえつつある人類の世界」を舞台にしなければならない理由が不明。
さらに終盤の展開は「なんじゃこれ?」。無理やりなどんでん返しに、もう好きにしてくれという感じで投げやりに読み終わった。
これは、楽しめる人と腹を立てる人に大きく分かれる作品のような気がなんとなくする。