- 作者: 二階堂黎人
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 1999/07
- メディア: 文庫
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江戸時代から遊廓を営んでいた旧家にもたらされた殺人予告。かつて狂死した遊女の怨霊祓いの夜、果たして起きた二つの殺人事件。折しも乱舞する雪は、二十四年前の惨劇にも似て…。名探偵・二階堂蘭子が解きあかす「密室」そして「足跡なき殺人」の謎。美しき三姉妹を弄ぶ滅びの運命とは!? 本格長編推理。
複数の殺人事件のしかけはいずれもすばらしかった。「地獄の奇術師」と同じく、一発勝負ではなくいろんなトリックが組み合わさって全体が成り立っていろところが圧巻。特に足跡の謎。
ただし犯人の特定に関しては若干弱めか? ハウダニットだけでなくフーダニットでもうならせてくれるのかと終盤期待したのだが、ちょっと尻すぼみ。
旧家の血縁関係のややこしい環境で起こる殺人というのは横溝正史風テーマで、興味をそそる。しかし終わってみるとそう活かされているとは言えないか。犯人の「人格の形成」の部分にあまり真実味を感じなかったせいかもしれない。
「地獄の奇術師」の感想で「二階堂蘭子という女の子を探偵役にしたことで何か大きな効果が出ているとは今のところ思えないが、以降の作品を楽しみにすることにする」と書いたのだが、この作品では楽しみは満たされなかった。というか、二階堂蘭子には全く「萌えない」。
今まで読んだ他の作家の作品の中での女(準)探偵役、たとえば西之園萌絵、タカチ、北見志穂、はたまた碓氷優佳などに比べると、蘭子は私にとっては女の子としての魅力がゼロ。このキャラクターは意図したものだろうし、「黎人の推理をバカにする蘭子が好き!」という人もいると(自信はないが)思うから、特に文句はないのだが。