- 作者: 鳥飼否宇
- 出版社/メーカー: 角川書店
- 発売日: 2004/05
- メディア: 文庫
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何十年に一度、開花するという竹の花。その撮影のために鳶山と猫田は、大隅半島の南端に近い竹茂村を訪れた。そこは老荘思想を規範に暮らすひなびた七世帯の村だった。村人は二十年前に起きた連続殺人事件の、再来に怯えながら過ごしていた。そして、怖れていた忌まわしい殺人事件が次々と起こる!!
閉鎖された村の異質な人間関係の中に潜む犯人とは!?
横溝正史ミステリ大賞優秀賞を受賞した本格ミステリの秀作。
超小規模な村を舞台にした、クローズドサークルに近い設定。竹を中心にすえたストーリーは、全篇に漂う竹の質感が心地よい。
序盤から「これは伏線ですよ」と言いたげな、あからさまに怪しいことがいくつか登場するので、それらをどういうふうに回収するのかと思いながら読み進む。トリックはなかなか巧妙。解決編にあたる部分でもそう簡単には真相が明かされず、謎解きの過程でも楽しませてくれる。怪しい伏線もちゃんと回収された。
ワトソン役・猫田夏海による軽妙な語り口は気に入った(探偵役・鳶山久志はどうもキャラクターがよくつかめないが)。他の鳥飼作品も読むことにしよう。