- 作者: 吉村達也
- 出版社/メーカー: 徳間書店
- 発売日: 1997/07
- メディア: 文庫
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金閣寺で、顔を金色に塗った女が死んでいる―思い出の古都を訪れた朝比奈耕作を、衝撃の事件が待ち受けていた。犯人が仕掛けた黄金のトリック。その惨劇の裏には《黒い金閣寺》にまつわる過去十一年にわたる家族の怨念劇が秘められていた。
「金」から読むか? 「銀」から読むか?
二冊読み終えたときに、初めて第二の真相が浮かび上がる《双方向多重構造》ミステリー!
これら2作は「どちらから読んでもよいが、どちらを先に読んでも、後の方を読み終わってから初めて、2作同時のどんでん返しが訪れる」という仕掛けになっているらしい。
「どちらから読んでも」と言われてもまあ金閣から読むとしたものだろう、と思ってこちらから。両方読んでから感想を書いた方がいいのかもしれないが、これだけで作品として成立しているので、中間報告。
殺人のトリックについては、あからさまに伏線が張ってあったのに全然気づかなかった。貴島家の崩壊の過程と併せて、結構楽しめた。しかしどうも伏せられているらしきこと、伏線っぽく書かれていることがある。これらが「銀閣寺の惨劇」の方で回収されるのだろう。「どちらから読んでもよい」というのがどうやって可能になっているのかは想像もつかない。
ご丁寧にも巻末に作者自身による解説があり、2作読むとどういうことが起こるのかを(ネタバレなしに)書いてある。よほど自信があるのだろう。
金閣寺にも銀閣寺にも何度も行ったことがある。金閣寺は金箔の張りかえ(1987年)が行われる前の方が風情があって好きだった。今のは金ピカすぎる。まあ前の姿も、1950年の放火で焼失したあと再建されたものだが。