このアルバム、もっと早く手に入れるべきだった。私はこのコンサートに行ったからである。横浜に単身赴任していた頃、東京に同じく単身赴任されていた会社の先輩から「チケットが2枚あるから」とお誘いがあり、一も二もなく行くことにしたのだった。
フォークルの3人 = 加藤和彦・北山修・新メンバー坂崎幸之助がいきなり白塗りで登場(ジャケット写真参照。実際はステージに正座だった)。市川猿之助による口上が行われ、いったん退場。白塗りを落として着替える間にカメ&アンコーの2人や佐野史郎のしゃべりが入る。これが長かった。肝心のコンサートが短くなってしまうのではないかと心配したがそんなことはなく、本編もたっぷり聴かせてくれた。
「紀元弐阡年」でスタート。先行して出されたアルバム「戦争と平和」の収録曲以外も結構やっていた。中でも「戦争は知らない」を聴けたのがうれしかった。昔のアルバムでの歌謡曲のようなアレンジよりこのライブの方が好きである。
フォークルは歌詞にこだわるバンド。「イムジン河」は従来のに加えて新歌詞の入ったバージョンもやっていた。「今日の料理テーマ」(メロディはNHK「今日の料理」のオープニング曲)につけられた歌詞が捕鯨問題を扱っていることに、このアルバムを聴いてやっと気がついた。「みんなで食べよう鯨...ひとつぶ残さず食べようグリーンピース」。
大満足だったコンサートがまたこうして聴けるのはうれしい。坂崎幸之助は本当にフォークルにフィットしている。彼なくしては(はしだのりひこが入らないという前提のもとでは)新結成はありえなかったというのもわかる気がする。北山修は九州大学の教授なので、次の日(月曜)の朝には福岡に出勤だと言っていた。忙しい人たちがスケジュールを合わせて実現した新結成とコンサート。まさに一期一会。