全脳自由帳

より考えるために書く

人形式モナリザ(森博嗣)

人形式モナリザ Shape of Things Human (講談社文庫)

人形式モナリザ Shape of Things Human (講談社文庫)

Vシリーズ第2作。

蓼科に建つ私設博物館「人形の館」に常設されたステージで衆人環視の中、「乙女文楽」演者が謎の死を遂げた。二年前に不可解な死に方をした悪魔崇拝者。その未亡人が語る「神の白い手」。美しい避暑地で起こった白昼夢のような事件に瀬在丸紅子と保呂草潤平ら阿漕荘の面々が対峙する。大人気Vシリーズ第2弾。

解説で井上章一氏も書いているが、犯人を当てるのはそう難しくない。私にも、謎が解き明かされるより前になんとなくわかった。この作品は真相が解明されるプロセスに力点を置いているのではなくて、描きたかったことは他にあるのだろう。2作読んで、VシリーズはS&Mシリーズよりもそういう傾向が強いような気がしてきた。

この作品についていえばテーマは「人形と人、人と神様」といったところか。テーマをすえてそれを描く、という方向においては「黒猫の三角」よりしっかりしていると思う。謎めいたラストも含めて、森哲学というか作者からのメッセージは伝わってきた気がした。モナリザの謎の真相は森作品らしかった。

阿漕荘の連中は相変わらず個性が強い。つまり「濃い」。2作読んだらだいぶ慣れてはきたが。