魔剣天翔 Cockpit on Knife Edge (講談社文庫)
- 作者: 森博嗣
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2003/11/14
- メディア: 文庫
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アクロバット飛行中の二人乗り航空機。高空に浮ぶその完全密室で起こった殺人。エンジェル・マヌーヴァと呼ばれる宝剣をめぐって、会場を訪れた保呂草と無料招待券につられた阿漕荘の面々は不可思議な事件に巻き込まれてしまう。悲劇の宝剣と最高難度の密室トリックの謎を瀬在丸紅子が鮮やかに触き明かす!
前作「夢・出逢い・魔性」に関して「Vシリーズの楽しみ方がなんとなくわかってきた気がする」と書いたのだが、この作品でもそれが引き継がれた感じ。話全体とそのテーマ、キャラクターの動きが楽しめる作品。レギュラー陣がそれぞれに活躍していて、キャラが立っている。
プロローグでの「形」や「美」に関する語りには強く共感できるものがあった。それだけでスッと話に入っていける。
かつ、謎解きとしても結構おもしろかった。事件はかなり単純。しかしトリックはなかなか見事。「スカイ・クロラ」(まだ読んでないが)につながる森博嗣の飛行機好きがうまく出た作品とも言える。その点では、模型好きを活かした「数奇にして模型」とも共通するものがある。
最後に解答が示されずに終わったことがあって、読み終わってから少し考え込んでしまった。あと、本筋の事件とは関係ない密室トリックが途中で出てくるのだが、こっちは何がどうなったのか結局わからなかったのが心残り。何度読んでも可能なように思えないのだが、どこかで勘違いしているのだろう。私の空間把握能力の不足によるものか。本文中に図を入れてしまうと興ざめになるのかな。