全脳自由帳

より考えるために書く

中学校の理科でN(ニュートン)を使うのは妥当なのか

長女(中1)が理科の「圧力」のところを教えてくれと言うので見てみたら、今の中学では国際単位系(SI)に合わせ、力の単位としてN(ニュートン)、圧力の単位としてN/ m^2を使っている。「約100gのものにかかる重力が1N」と教わるらしい。これ、なんか苦しいなあと思うのだが、どうなのだろう。

1Nというのは1kgの物体に1m/ s^2の加速度を生じさせる力として定義される。地球の表面での重力加速度は約9.8m/ s^2なので、1kgの物体にかかる重力は約9.8Nとなる。したがって重力が1Nになるような物体の質量は1000/9.8で約100gである。

中学では加速度という概念や運動方程式(F = mα)を習わないから、このへんの議論をすっ飛ばしてNの定義を「約100gのものにかかる重力が1N」と教えているのであるが、これで実感がわくのだろうか。厳密な量を扱う理科でいきなり「約100g」と言われても。というわけで「苦しいなあ」と思うのである。

私が中学生のころは、力の単位として「kg重」を使っていた。kg(質量)とkg重(力)の違いを理解してしまえば、1kg重は1kgの物体にかかる重力のことなのでわかりやすく、一応厳密である。ただし高校に入ったら改めてNという単位を習い、1kg重は約9.8Nのことだったと理解する必要があった。どっちがいいのだろう。