全脳自由帳

より考えるために書く

ゴルフ場殺人事件(アガサ・クリスティ)

ゴルフ場殺人事件 (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)

ゴルフ場殺人事件 (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)

ポアロもの長編第2作。原題は"Murder On The Links"。linksというのがゴルフ場という意味を持つとは知らなかった。

フランスに滞在する富豪ルノーが、ゴルフ場で何者かに刺殺された。ポアロが事件を担当することになるが、パリ警察の名刑事ジローも捜査を開始する。ふたりは、知恵比べをしながら調査をしてゆくことになるが、まもなく富豪殺しと同じ凶器で浮浪者が殺害される事件が発生した。はたして、両事件に関連はあるのか?

初期の作品ながらよくできていると思う。単純そうな事件にひそむ複雑な背景と人間関係、トリックと偶然。話は二転三転するし、パリ警察のジロー刑事との対決は(まあ勝負の結果は見えているとしても)興味深い。若干唐突ながら、ラブロマンスが味つけの役割をはたしている。

ところで、「ジロー刑事」はいいとして、フランス警察からは「ベー署長」という人も登場するのだが、この名前が出るたびにおかしくなってしまったのは私だけだろうか。何せ「ベー」である。ポアロもまじめに「ムッシュー・ベー」とか呼んでいる。「ベイ署長」とかいう表記にすることはできなかったのだろうかと思って調べてみたら"Lucien Bex"という名前のようである。やはり「ベー」なのであろう。「ジロー」は"Giraud"である。