- 作者: アガサ・クリスティー,橋本福夫
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2003/11/11
- メディア: 文庫
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秘書・タイプ引受所から派遣されたタイピストのシェイラは、依頼人の家に向かった。無数に時計が置いてある奇妙な部屋で待っていると、まもなく柱時計が三時を告げた。その時、シェイラは恐ろしいものを発見した。ソファの横に男性の惨殺体が横たわっていたのだ…死体を囲むあまたの時計の謎に、ポアロが挑む。
ポアロの登場場面は少ない。年をとったせいか、あくまで安楽椅子探偵として事件を解決しようとする。代わって動くのはコリン・ラムという男。ヘイスティングスは出てこない。
複雑そうに見える、というかどこから手をつけていいかわからない事件に見えたが、「実際はすこぶる単純な事件に相違ない」というポアロの言葉通りだった。いつもながら推理は見事。
しかしそこに行き着くまでにいささか疲れた。クリスティ独特のドラマチックさがなく、聞き込み捜査ばかりが延々続く。それと、中心になると思っていた「時計」に関する真相がちょっと...。