米中毒別館

思いついたことをこまごまと。本の感想なども。

狂骨の夢(京極夏彦)

文庫版 狂骨の夢 (講談社文庫)

文庫版 狂骨の夢 (講談社文庫)

京極弁当箱(百鬼夜行)シリーズ第3作。例によってすごい分量。文庫版で970ページある。

夫を四度殺した女、朱美。極度の強迫観念に脅える元精神科医、降旗。神を信じ得ぬ牧師、白丘。夢と現実の縺れに悩む三人の前に怪事件が続発する。海に漂う金色の髑髏、山中での集団自決。遊民・伊佐間、文士・関口、刑事・木場らも見守るなか、京極堂は憑物を落とせるのか?著者会心のシリーズ第三弾。

今回もすさまじい話だった。「骨」「髑髏(どくろ)」に関係する事件がいくつも起こり、それら全てに関連性があるようにはとても見えない。広げに広げた風呂敷をどうたたむのかと思っていたら、京極堂(今回はなかなか登場しない)の長い講釈により見事に全ての謎が明かされ、事件同士の関係が明らかになり、憑物は落とされたのだった。よくこんなストーリーが作れるものである。

しかしちょっと消化不良気味。謎の材料が多い割には読者に対してあらかじめ開示される情報が少なく、かつ真相が相当複雑なので、解明編で与えられる情報が非常に多くなり、読むのがちょっとしんどかった。とても解けまいと思っていたいくつもの謎がスパッと明かされた「魍魎の匣」に比べると切れ味が若干落ちる。

登場人物が多すぎて時々誰が誰かわからなくなった。あと、前2作でも感じていたことだが、探偵・榎木津礼二郎の役割がよくわからない。この作品では特に。

とまあ、いろいろ文句をつけてみるのも、このシリーズに関しては贅沢な話。ぐいぐい引き込まれて一気に読んでしまったのは事実。後続の作品を読むのが楽しみである。1つ1つの量が多いので読み始めるのに踏ん切りが必要だが。