全脳自由帳

より考えるために書く

断定したくない症候群(3) じゃないですけど

断定を避けようとする言い方の3つ目はこういうの。 

あの、お母さんと娘さんが抱き合って泣いているのを見て、僕も、もらい泣きじゃないですけど、涙が出てきたんですよ。

それはまさしく「もらい泣き」である。「もらい泣きじゃない」ことはない。

会議にて…

このへんで、ここまでの総括じゃないですけど、いったんまとめておきましょうか。

それは「総括」でまったく正しい。「じゃない」ことはない。

こういうふうに、「○○です」「○○します」と言う代わりに「○○じゃないですけど」といったん言っておく、という伝え方をする人が、ここ数年で私のまわりに急に増えた。

これも、断定したくないという心理が働いているのだと思う。断定しないために「〜じゃない」という否定表現まで使ってしまう。「断定したくない症候群」、ここに極まれり。

laurier.press

この記事では、「〜じゃないですけど」を以下のように分析している。

それでもとっさに言葉が浮かばず、「ぼん!」とまず、強く分かりやすい言葉をぶつけてしまう。で、すぐに「それではないのだが」と否定。「それに類したものを察してください」という話し手の意図が現れます。

「嘘でもいいのでとりあえず言ってしまって、あとからフォロー」という作戦、相手の気持ちをがっとつかむためには有効手段ですが、乱用・悪用は避けたいもの。

今やもう、そんな「作戦」を繰り出している感じではない。「○○です」と言えるところをシンプルに「○○じゃないですけど」と言い換えている。ただ断定したくないだけなのだと推測している。それほどまでにはっきり言いたくないものだろうか。