全脳自由帳

より考えるために書く

コズミック 水(清涼院流水)

コズミック水 (講談社文庫)

コズミック水 (講談社文庫)

「コズミック世紀末探偵神話」(1996年)を二分冊にしたうちの下巻。

日本全国を恐怖に陥れた大量密室連続殺人事件がついに解決。驚倒すべき動機、トリック、真犯人とは?

「コズミック」の下巻ではあるのだが、作者の勧め通りに、

という「清涼 in 流水」の順で読んだので、4冊に及ぶ物語の最終巻でもあった。

このとんでもない連続密室(なのか?)殺人事件の真相がまともなものであるわけがないとハナから思っていたので、案外まともな解決だと思えた。というか、バカミス(って何なのか未だに理解できていないが)として、おおむね楽しく読めた。ここまでやってくれれば、「トリックに無理がある」などと突っ込もうという気にはならない。アナグラムによる言葉遊びがこれだけたくさん、4冊も続くとちょっと飽きてくるが。

で、いったん真相が明かされたあとにさらに何かすごいことがあるのかと期待して最終盤を読んだら...。ここはいらない。もっと前でスパッと終わった方がよかったんじゃないのか。

作者の勧め通りの順番で読んだのは正解だったような気がする。「コズミック」を上下巻とも読んでから「ジョーカー」上下巻を読むのでは話がつながらないところがある。時系列上で先の事件である「ジョーカー」上下巻を先に読んでから「コズミック」上下巻、なら悪くないと思うが、それだと味わえない趣向が(少なくとも)1つ入れてある。

長いこと懸案だった2作品を読めたので満足。清涼院流水はこれで一段落。将来よっぽど気が向いたら他のも読むかもしれない。