全脳自由帳

より考えるために書く

卒業―雪月花殺人ゲーム(東野圭吾)

卒業 (講談社文庫)

卒業 (講談社文庫)

デビュー作「放課後」に続く第2作。1986年。刑事・加賀恭一郎の学生時代。

7人の大学4年生が秋を迎え、就職、恋愛に忙しい季節。ある日、祥子が自室で死んだ。部屋は密室、自殺か、他殺か?心やさしき大学生名探偵・加賀恭一郎は、祥子が残した日記を手掛りに死の謎を追求する。しかし、第2の事件はさらに異常なものだった。茶道の作法の中に秘められた殺人ゲームの真相は!?

読後感のあまりよくない作品だった。ミステリーとしてのしかけとしては申し分なく、様々な伏線がきっちり回収されたし、第2の殺人に登場する「雪月花トリック」も追っていく気になれる範囲のものだった。しかし小説としてはどうもいただけない。「こいつら、結局何だったの?」と思ってしまうのである。

私ぐらいの年になれば逆に悟ってきて納得できてもよさそうなもんだが、ちっとも納得できない。たとえば「片想い」での仲間たちの関係の方が共感できたな。