全脳自由帳

より考えるために書く

夜歩く(横溝正史)

夜歩く (角川文庫)

夜歩く (角川文庫)

1948〜9年の作品。

「われ、近く汝のもとに赴きて結婚せん」という奇妙な手紙と佝僂の写真が、古神家の令嬢八千代のもとにまいこんだ。三日後に起きた、キャバレー「花」での佝僂画家狙撃事件。それが首無し連続殺人の発端だった…。因縁の呪いか? 憎悪、貪欲、不倫、迷信、嫉妬と、どす黒い要素が執念深くからみあって、古神家にまつわる、世にも凄惨な殺人事件の幕が切って落とされた!!

旧家を舞台にして佝僂(せむし)男、首なし死体、そして表題の「夜歩く」癖。雰囲気満点、かつ複雑なトリックで楽しませてもらった。

メイントリックには非常に有名な先例があるのだが、それとの差別化はなされているのだろう(先例の方を読んでないからよくわからないけど)。ともかくこの作品に関しては予備知識なく読めてよかった。

戦後すぐにこんな小説が書かれていたとは。横溝正史は昔ブームになったからかえって敬遠していたが、おもしろいなあ。今度は昔のブームの象徴とも言える「犬神家の一族」でも読んでみるか。