- 作者: 東野圭吾
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2009/09/18
- メディア: 単行本
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日本橋。江戸の匂いも残るこの町の一角で発見された、ひとり暮らしの四十代女性の絞殺死体。「どうして、あんなにいい人が…」周囲がこう声を重ねる彼女の身に何が起きていたのか。着任したばかりの刑事・加賀恭一郎は、事件の謎を解き明かすため、未知の土地を歩き回る。
加賀恭一郎シリーズ。全体で1つの話なのだが、9つの章それぞれに物語があり、連作短編集のような構成。2004年から5年間にわたって1章ずつ連載されている。Wikipediaによると、作者は殺人事件の全体像を決めずに書き始めたらしい。実際、捜査がなかなか進展しない部分をも楽しむ作品になっている。東京の下町の風情をベースに、前半は殺人事件とあまり関係のない短編小説として気持ちよく読める。
終盤、犯人をつきとめるロジックは正統派、とどめの話はこれぞ東野流という感じで、これまた気持ちいい。意表を突かれたり重いテーマを乗せられたりすることはあまりなく、素直に作品世界を楽しむという趣だった。
加賀恭一郎は日本橋署勤務。読者が彼に抱いているイメージに対するフェイクを本作でも見せてくれる。「なんで彼が?」と思っていたら終わりまで読んで「なるほど」。相変わらずカッコいい。「刑事の仕事は犯人を捕まえるだけではない」という加賀の信念は本作でも色濃く出てくる。
TVドラマの「新参者」の方は、録画したものを最近妻が観ていたので横目で少し観た。登場人物の構成が少し華やかになっている。あと、主要でない登場人物としてゲスト有名人が出てくる。綾戸智恵とかみのもんたとか。