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文庫版で700ページ近くある作品の映画化だけあって、さすがに話の全部を映像化するのは無理だったらしい。原作では出てきていたのに映画では出てこない人が結構いるし、ストーリーも省略されている部分がある。それでも川をはさんだ2つの村の風情や、芸術家集団の異様な雰囲気は出ていた。
しかし、ストーリーが省略されている割にはちょっと間延びしているというか緊迫感がない。それと、これはしょうがないことかもしれないが、エピソードが割愛されている影響で犯人を推理するロジックまで変わってしまっている。あと、ラストは原作と同じシーンにしてほしかったな。あの終わり方がよかったのに。
...と、原作を読んでから観る者からすればいろいろと言いたいことは出てくるのだが、原作のことはおいといてこの作品だけを観ればそれなりに楽しめるものに仕上がっていると思う。映画化するとどういうものになるか、ということはよくわかった。何より、マリア役の渡辺満里奈がとてもかわいかったので少々のことは許す。