全脳自由帳

より考えるために書く

他殺岬(笹沢左保)

他殺岬 (光文社文庫)

他殺岬 (光文社文庫)

1976年、岬シリーズ第1作。

美容界の大御所・環千之介は、ルポ・ライターの天知昌二郎に、その過去を暴かれて自殺! その娘ユキヨも父の後を追い、足摺岬から投身自殺した。――天知の一人息子が誘拐され、犯人はユキヨの夫だと名乗る。天知が息子を取り戻すには、ユキヨの死が他殺だと証明するしかない!
サスペンス・ミステリーの傑作!

誘拐事件の話かと思いきや、自殺/他殺事件がからんでくる。かつ、「幻の女」のような時限もの。時限の設定のされ方や警察との関係に若干不自然なものを感じたが、ともかく緊迫感があってよし。真相は(いつものごとく)全然予想できなかった。よく考えられたしかけである。

笹沢作品はどれも独特の味があっておもしろい。この時代(昭和50年代初頭)は本格推理小説があまり盛んでなかったのだと思っていたのだが、よい作品を出していた人も当然いたのであるな。