全脳自由帳

より考えるために書く

幻の女(ウイリアム・アイリッシュ)

幻の女 (ハヤカワ・ミステリ文庫 (HM 9-1))

幻の女 (ハヤカワ・ミステリ文庫 (HM 9-1))

海外ミステリーはクイーンとクリスティぐらいにしておこうかと思っていたのだが(と何回書いたか忘れたが)、大傑作という話を聞くと読んでみたくなる。早川書房の「ミステリ・ハンドブック」の「読者が選ぶ海外ミステリ・ベスト100」で1位に輝いた作品。原題は「Phantom Lady」。B'zの曲みたいなタイトルである。

夜は若く、彼も若かったが、夜の空気は甘いのに、彼の気分は苦かった……ただ一人街をさまよっていた男は、奇妙な帽子をかぶった女に出会った。彼は気晴しにその女を誘ってレストランで食事をしカジノ座へ行き、酒を飲んで別れた。そして帰ってみると、喧嘩別れをして家に残してきた妻が彼のネクタイで絞殺されていたのだ! 刻々と迫る死刑執行の日。唯一の目撃者"幻の女"はどこに? サスペンスの詩人の、不滅の名作!

うーむ、入り込めなかった。中盤は死刑執行の日が迫る緊張感を出しているのだろうなと思うし、最後は意外な真相が明らかにされた(蛇足だと思うものもあったが)ので、なるほど名作と言われるのだろうというのは頭ではわかるのだが、一方で全然感心も感動もしていない自分がいる。

アンフェアじゃないかと思われる記述もあったし、気のきいた文章は最初の「夜は若く...」のところぐらいで、あとはどうも読みにくく、時間がかかった。この作品とは相性が悪いようである。次の海外ものはやっぱりクイーンかクリスティにすることにしよう。