全脳自由帳

より考えるために書く

氷点(三浦綾子)

氷点 (上) (角川文庫 (5025))

氷点 (上) (角川文庫 (5025))

氷点 (下) (角川文庫)

氷点 (下) (角川文庫)

家の本棚にあるのを発見した(妻が持っていた)ので、名作と誉れの高いこの小説を読んでみる気になった。私の母はこの作品が好きで、何度も読んだらしい。

Amazonの紹介文より。

辻口は妻への屈折した憎しみと、「汝の敵を愛せよ」という教えの挑戦とで殺人犯の娘を養女にした。明るく素直な少女に育っていく陽子…。人間にとって原罪とは何かを追求した不朽の名作!

しかし私はこの小説に入り込めなかった。「自分の娘を殺した犯人の娘を養女にする」という設定に、単に「なんでそんなアホなことを?」としか思えなかったので、そのあとは全て滑稽な(というのは言いすぎか)物語に見えた。「原罪」というのがこの小説で何にあたるのかもよくわからない。そして結末がダメ押し。「なんじゃそれ?」。

この「心に届かなさ」は何なのだろう。私はキリスト教の教えをベースにした作品は苦手だということなのかもしれない。前に同じく名作の誉れ高い「塩狩峠」を読んだ時も感銘を受けなかった。少なくとも三浦綾子作品との相性は悪いかも。