全脳自由帳

より考えるために書く

ガリレオの苦悩(東野圭吾)

ガリレオの苦悩 (文春文庫)

ガリレオの苦悩 (文春文庫)

ガリレオシリーズの短編集としては3冊目。長編「容疑者Xの献身」も入れると4冊目になる。「落下る(おちる)」「操縦る(あやつる)」「密室る(とじる)」「指標す(しめす)」「攪乱す(みだす)」の5編。

“悪魔の手”と名のる人物から、警視庁に送りつけられた怪文書。そこには、連続殺人の犯行予告と、帝都大学准教授・湯川学を名指して挑発する文面が記されていた。湯川を標的とする犯人の狙いは何か? 常識を超えた恐るべき殺人方法とは? 邪悪な犯罪者と天才物理学者の対決を圧倒的スケールで描く、大人気シリーズ第四弾。

容疑者Xの献身」は若干重かったが、短編集になるといつものガリレオシリーズの軽いトーンになる。科学トリックを使うことが趣向なので、推理小説としての驚愕のしかけというのには出会わないものの、安定している。

マイベストは「操縦る」。とてもいい話だった。TVで放映されたのを観ていたので、トリックはほぼ覚えていたが、話としては改めて十分に味わえた。この短編集の中で唯一、湯川学が本当に苦悩した話と言えるかもしれない。