全脳自由帳

より考えるために書く

流星の絆(東野圭吾)

流星の絆 (講談社文庫)

流星の絆 (講談社文庫)

文庫化されたので読んだ。2008年の作品。ドラマが放映されたのは記憶に新しいが、「読んでから(もしかしたら)観る」派の私は観ていなかった。

何者かに両親を惨殺された三兄妹は、流れ星に仇討ちを誓う。14年後、互いのことだけを信じ、世間を敵視しながら生きる彼らの前に、犯人を突き止める最初で最後の機会が訪れる。三人で完璧に仕掛けはずの復讐計画。その最大の誤算は、妹の恋心だった。涙があふれる衝撃の真相。著者会心の新たな代表作。

物語の展開としてはかなりベタベタな感じなのだが、東野流に描かれるとあざとい感じはなく、すがすがしい。殺人の真相の方はかなり無理やりという印象もあったが、それでも読後感は悪くない。何より、何気ないエピソードを含めて、途中で退屈しないでどんどん読み進めることができる。

欲を言えば、固有のメッセージが何かほしかった。東野作品にはいつも期待していることだが、倫理観を刺激してくれるようなメッセージを受け取りたい。それから、三兄妹の「絆」をもうちょっと深く描いてほしかった。

この作品を読むと、「常にハヤシよりカレー」派の私でも無性にハヤシライスが食べたくなるのだった。