- 作者: 石持浅海
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2010/01/28
- メディア: 文庫
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【人柱】城などの難工事の際、完成を祈願し、神への生贄として生きた人を地中や水底に埋めること―留学生のリリーは、工事現場からミイラが発見されるという、奇怪な殺人事件に遭遇する。その死体から浮かび上がる、この国の信じられない風習とは…人柱に黒衣に参勤交代。江戸の風俗がいまだ息づくパラレル・ワールドの日本を舞台に、石持流ロジックが冴え渡る傑作ミステリ!
日本にある(あった)風習を元にしたバカバカしい設定の中で起こる事件、という趣向。後の方の話ほどバカバカしさが増している。設定がバカバカしくて推理の論理がしっかりしているとその落差を楽しめるのだが、設定が飛躍するとともに論理も飛躍していく感じ。しかも「証拠はないがこの推理には説得力がある」で無理やり通そうとするトーンになっている。
マイベストを選ぶとするなら、最初の表題作かな。これが一番マジメな推理になっているような気がする。あと、「黒衣は議場から消える」の導入部は笑えた。
探偵役・東郷の「人柱」という職業、いくら金をもらってもやる気がしないな。閉所に対する恐怖感はあまりないが、何ヶ月も(時には何年も!)何もすることがなく人に接することもできないというのはとても耐えられない。無人島よりも刑務所よりもつらそうである。