全脳自由帳

より考えるために書く

数学ガール/フェルマーの最終定理(結城浩)

数学ガール/フェルマーの最終定理 (数学ガールシリーズ 2)

数学ガール/フェルマーの最終定理 (数学ガールシリーズ 2)

数学ガール」の続編。各章のタイトルと、補足として章の内容の要約を書くと以下のようになる。

中学生のユーリが新キャラとして登場。フェルマーの最終定理にアプローチしていく本だけに、前作よりさらに数論に焦点を当てた内容になっている。前半はかなり知っていることが多かったのだが、それでも「なるほど」と思わされることが散りばめられていた。

タイトルに掲げられているだけあって、フェルマーの最終定理の証明の概略をきちんと説明してくれるのはうれしい。サイモン・シンの名著「フェルマーの最終定理」でもここまでは書かれていなかった。

他の人も書いていたと思うのだが、第9章はちょっと浮いているかもしれない。テイラー展開はテトラちゃんの担当(?)だったと思うので(「テトラー展開」とか言ってたぐらいだし...)、別の場所で彼女との会話の文脈で出てきた方が自然だったかも。ユーリはユーリ数が担当、というわけではないだろうけど。

それにしてもユーリという子、中学生だと思って油断してたらムチャクチャ頭いいではないか。最後の章での活躍には目を見張った。

この本を読んで、自分でも何かやってみようと思い、「円x^2 + y^2 = 3上に有理点は存在しない」 の証明にトライしたらなんとかできた。数式を自分でいろいろいじくったのは「渡り廊下問題(1)(2)」以来である。

世間では、数学や物理学というととりあえず「苦手だった」「全然わからない」と言っておいて「そうですよねえ」という空気を共有するのが「お約束」のようになっているが、このシリーズに出てくる女の子たちのように前向きに興味を持てたら、自分なりの理解の範囲でおもしろいことはたくさん見つけられるはずだと思うのである。

2009.4.23追記

このエントリにも著者の結城浩さん(id:hyukiさん)からはてなスタートラックバックをいただいた。ありがとうございます。「新版暗号技術入門 秘密の国のアリス」も買ったので、読んだら感想を書こうと思う。