- 作者: 宮部みゆき
- 出版社/メーカー: 光文社
- 発売日: 1994/10
- メディア: 文庫
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13歳の八木沢順が、刑事である父の道雄と生活を始めたのは、ウォーターフロントとして注目を集めている、隅田川と荒川にはさまれた東京の下町だった。そのころ町内では、“ある家で人殺しがあった”という噂で持ち切りだった。はたして荒川でバラバラ死体の一部が発見されて…。現代社会の奇怪な深淵をさわやかな筆致で抉る、宮部作品の傑作、ついに文庫化!
これでやっと3冊目だが、いつも文章と構成がしっかりしていると感じさせられる。この作品に関しては「さわやかな筆致」というのが当たっている。バラバラ殺人という猟奇的な事件を扱いながら暗くならない。少年の冒険譚としても読めるし、社会派ミステリーとしての側面もある。思わぬ「探偵役」が出てくるところもよし。
残りページ数がかなり少なくなってもほとんど手がかりがつかめない。真相についても全く想像がつかない。どうなるのだろうと思ったら、急展開で思わぬ収束へ。よく練られた作品である。毎作こうやって「うまい!」とうなることができるのなら、他の作品も読んでみなければ。で、次はどれにしようか...。