全脳自由帳

より考えるために書く

殺人交叉点(フレッド・カサック)

殺人交叉点 (創元推理文庫)

殺人交叉点 (創元推理文庫)

海外ミステリーはクイーンとクリスティぐらいにしておこうかと思っていたのだが、「ミステリが読みたい! 2009年版」でこの作品が「どんでん返しミステリの傑作」として紹介されていたので、なんとなく読んでみようかと購入。

十年前に起きた二重殺人は、単純な事件だったと誰もが信じていました。殺人犯となったボブを熱愛していたルユール夫人でさえ、何も疑わなかったのです。しかし、真犯人は、私なのです。時効寸前に明らかになる驚愕の真相。’72年の本改稿版でフランス・ミステリ批評家賞を受賞した表題作に、ブラックで奇妙な味わいの「連鎖反応」を併録。

確かに最後にどんでん返しがあった。しかし作者の意図と思われる最後の1行より少し前で気づいてしまったのと、同様のトリックに属する国内作品(これよりずっと新しいものだが)をすでにいくつか読んでいたのとで、衝撃はそれほどでもなかった。

それより何より悲しいことに、この作品で作者がしかけている技の巧妙さは原書(フランス語)で読まないと本当には理解できないはずなのである。訳者は相当努力したのだと思うが、日本語にすると技の内容が大きく変わってしまう。

結局、フランス語の読めない私には楽しみ尽くすことのできない作品になっている。こういうのに出会って「やっぱり海外ミステリーはあまり読めないな」と思ってしまう私はこだわりすぎなのだろうか。

併録の「連鎖反応」は結構楽しめた。私が知っている数少ないフランス語の単語の1つ「コキュ」を思い出した。