全脳自由帳

より考えるために書く

白光(連城三紀彦)

白光 (光文社文庫)

白光 (光文社文庫)

連城三紀彦のミステリー長編を読んでみたくて検索したらこれに行き当たった。2002年の作品。

ごく普通のありきたりな家庭。夫がいて娘がいて、いたって平凡な日常―のはずだった。しかし、ある暑い夏の日、まだ幼い姪が自宅で何者かに殺害され庭に埋められてしまう。この殺人事件をきっかけに、次々に明らかになっていく家族の崩壊、衝撃の事実。殺害動機は家族全員に存在していた。真犯人はいったい誰なのか?連城ミステリーの最高傑作がここに。

静かな始まり、突然の事件、そして登場人物が交代で語ることによって次第に明らかになっていく背景と真相。終わりの方では目の前につきつけられる事実に寒気がした。そして改めて、何でもない日常の裏に渦巻く情念と、殺された子の不憫さに震える。

大傑作だと思う。こんなストーリーを構築し作品として書き上げたということからだけでもすごい作家だということがわかる。