- 作者: エラリー・クイーン,宇野利泰
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 1988/05/01
- メディア: 文庫
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ドルリイ・レーン登場。昔「Y」を読んだ時には、彼が耳が聞こえない人だということを意識していなかったような気がする。やはり「X」から順に読むべきであったか。
最初の電車の事件では、こんな単純な事件(犯人は全くわからないけど)からどうやって話をふくらますのだろうと思ったのだが、そこから見事にふくらんでいった。そしてあくまでロジックで真相を突き止めるレーン。さすがに鮮やか。
ただ、具体的にどことは指摘できないが、立ち回り方としてはちょっと遠まわりの感あり。「名探偵は必ずしも事件の予防には役に立たない」ということの先がけにもなっているのかも。それと、犯人の手口で腑に落ちないことが1つあった。ハヤカワ文庫の解説ではそれが「推理小説本来の許容範囲を越える欠陥」として指摘されていた。まあ小キズだと思うが。
「Yの悲劇」とどちらがよかったかというと、陰惨さの分だけ「Y」のような気もするが、あっちを読んだのがあまりにも昔のことなのであやふや。再読してさらに「Zの悲劇」「ドルリイ・レーン最後の事件」まで読んでから改めて比較してみたいものである。