- 作者: 東野圭吾
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2008/08/05
- メディア: 文庫
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直木賞受賞作。今年これが文庫化されるはず、と思って待っていた。本屋で見かけたのでさっそく買って読んだ。
ガリレオシリーズの長編ではあるが、「探偵ガリレオ」「予知夢」の短編とは違って「科学トリック」に主眼を置いていない。むしろ設定だけを借りた全く別の系統だと思った方がいい。
そして、ある意味で東野圭吾の集大成的な小説だと感じた。彼は初期の頃は本格推理小説を書き、その後は本格でないミステリー作品(謎解きを主眼にしない)に移行したと思うのだが、この作品は本格推理小説の形式をとりつつ東野流非本格ミステリーに仕立てている。
読んだあとにネタバレ書評サイトをいろいろ読んでいたら、作家の二階堂黎人氏が日記で興味深いことを書いていた(不定期日記過去ログ 2005年07月〜12月の2005.11.28)。この作品を読んだ人は必見。ここに書かれている「真相」には賛成できないけど。そしてここから大論争に発展したらしい(→ X論争黙示録)。
小説としてのインパクトは、直木賞に落選した「秘密」「白夜行」「手紙」の方が強かったが、本格推理小説っぽい「容疑者Xの献身」が受賞したということの意義はあるのかもしれない。
それにしても、石神という男...。途中で「献身にもほどがある!」とつぶやいてしまったぞ。