- 作者: 横溝正史
- 出版社/メーカー: 角川書店(角川グループパブリッシング)
- 発売日: 1971/03/30
- メディア: 文庫
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トリックにはあまり感心しなかったし、トリックと動機のからみにちょっと無理を感じるが、小説としての雰囲気は抜群。その雰囲気とトリックや動機はうまく融合されている。いずれにしても、「自分の読むものではない」というようなものでは全然なかった。
文中に「気ちがい」という言葉がやたら出てくる。しかも「気の狂った状態」のことではなく「気の狂った人」を指す意味で。現在ではいろんなところで自粛されている言葉なので、逆に新鮮だった。
金田一耕助は、事件の謎を鮮やかに解くのはいいが、他の面では結構なさけない役まわり。事件を防ぐという意味では全然役に立っていない。それどころか...。