- 作者: ケン・フォレット,矢野浩三郎
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すばらしかった。12世紀のイングランドを舞台にした壮大な物語。人間の強さ、弱さ、気高さ、いやしさが如実に描かれ、そしてその中から希望を見つけることができる。「あきらめるな! 道を切り開け」というメッセージが聞こえる。私は歴史ものが苦手で、またキリスト教の世界にはどうも理解しがたいものがあるのだが、この小説には没頭できた。
ただ、教会建築の知識がなく、おまけに空間把握能力に乏しい私には、大聖堂の構造を文章から理解することが全くできなかったのが残念。いっそのこと図に描いてほしいなと思いながら読んでいた。しかしあえて文章から読み取ろうとするのが小説の醍醐味でもある。
原書("The Pillars of the Earth")の方で読んでみることはほとんど考えなかった。文章そのものがどれだけ難しいかはわからないが、中世イギリスの文化(服装、武器など)、キリスト教、大聖堂建築に関する単語がビシバシ出てくるから、英語で読んだら相当しんどい思いをするはず。日本語訳は自然な感じで読みやすかった。