全脳自由帳

より考えるために書く

「ひとつの装置」再読

妖精配給会社 (新潮文庫)

妖精配給会社 (新潮文庫)

注文していた本が届いた。子供たちが寝てじゃまされない時間になってから、「妖精配給会社」の中の「ひとつの装置」をゆっくり読んだ。

前に読んでから多分20年以上経っている。「困りましたね、先生。ここは国立の権威ある研究所。」という妙に説明的でクールな文章がなつかしい。

前回「あらすじは完全に思い出した」と書いたが、だいぶ違っていた。装置の作者が「うむ、やはり作るしかない」とつぶやいて製作にとりかかるシーンがあったと思っていたのだが、どこにもなかった。別の作品と混同していたらしい。記憶というのはいい加減なものである。それに、文庫本で18ページもあるとは。もっと短い話だと思っていた。

aogiliさんの書評で「機械は最後まで機械として扱うべきだったように思う」と書かれていたが、微妙なところか。ラストは人間的なので、そこにスムーズにつながっているようにも思うのだが。でも、機械として描写されたままラストにつながったら、と想像してみると、とても味が出てくる。その方がいいような気もしてきた。

20年以上経って読み返しても、特に好きな星新一作品の一つであることに変わりはないのだった。