全脳自由帳

より考えるために書く

修羅の終わり(貫井徳郎)

修羅の終わり (講談社文庫)

修羅の終わり (講談社文庫)

1997年の作品。

「あなたは前世で私の恋人だったの」。謎の少女・小織の一言を手がかりに、失った記憶を探し始める。自分は一体何者だ? 姉はなぜ死んだ? レイプを繰り返す警官・鷲尾、秘密結社“夜叉の爪”を追う公安刑事・久我、記憶喪失の〈僕〉が、錯綜しながら驚愕のクライマックスへと登りつめる、若き俊英の傑作本格ミステリー。

3つの話が並行して進む。貫井作品らしく、どの話も重く、かつそれが必ずしもいやではない。

とはいっても、3つのうちの1つは全く救いがないので力が抜けるし、さらに別の1つでは、何が善で何が悪なのかだんだんわからなくなってくる。それと同時に、公安警察というのはえらく気の長い仕事だという感想も抱いてしまった。こんなに長くかかる仕事にモチベーションを保ち続けていなければならないというのはいかにもしんどい。

それら3つの話がどうつながるのかが焦点になる。結末まで読んで、半分はそういうことかとわかったのだが、腑に落ちない部分もあったので例によってググる。いろんな人が「これが真相だと思う」というのを書かれていて、一応の結論に達することができた。しかしこれ、3つの話があまり強くはつながっていないので、腑に落ちなかった半分の部分の納得度は半分くらい。つまり全体としては7割5分ぐらい納得したという感じか。