- 作者: ロアルド・ダール,J.シンデルマン,Roald Dahl,田村隆一
- 出版社/メーカー: 評論社
- 発売日: 1972/09
- メディア: 単行本
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子供のころからなぜかチョコレートが苦手である。味がどうもいけない。菓子パンやケーキもチョコレート味のは食べない。唯一ホワイトチョコレートだけは割といけるが、チョコレート好きに言わせるとあんなものはチョコレートじゃないらしい。
それでも、小学生の時に学校の図書室かどこかで借りてきて読んだ「チョコレート工場の秘密」はお気に入りだった。次々とヒット商品を作り出す世界一のチョコレート会社社長・ウィリー・ウォンカが、長い間秘密にしていた巨大工場を5人の子供たちに見学させると発表する。世界中で売られるウォンカチョコレートの中のたった5枚だけにゴールデンチケット(招待券)が入っている。貧乏な家庭に育ち、誕生日にしかチョコレートを食べられないチャーリー・バケットは、いつも外からながめているだけの工場の中を見てみたいと願うのだが...。わくわくするようなストーリーに魅了されて何度も読み返した。きらいなチョコレートなのにとてもおいしそうに思えたものだった。あやしげなイラストもこの物語にはちょうどよい雰囲気を醸し出していた。
昨年、そのことを思い出してこの本を買って何十年ぶりかで読み、わくわく感を再び経験した。そして小学生の長女に勧めたのだが、どうも乗り気でない。ちょっと読んだだけで「あんまりおもしろくない」「絵が気持ち悪い」とか言ってやめてしまった。そういえば自分も親に読めと言われた本は今ひとつ読む気がしなかったな、と思いながらも残念な気持ちがしていた。妻にも、子供のころに夢中になった本だと力説して勧めてみたが、「ふーん」と言ったきり読む気配なし。
ところが最近になって突如2人とも読み始めた。「おもしろい」と夢中になっている。読み出した理由は明らかで、この本を原作として作られた映画「チャーリーとチョコレート工場」がヒットしたから俄然興味を持ったというわけである。ミーハー親子。ともあれファンが3人になったので、3歳の次女を入れて家族4人で映画を観に行くことにした。
原作のよさを損なうことなく、映画だけの味つけもなされていて、実にいい映画だった。2時間があっという間。原作を読んでから観た方が楽しめるんじゃないだろうか。久しぶりに映画ですがすがしい気分になれた。ウンパ・ルンパを日本人がやるとしたら誰かな、梅宮辰夫なら笑えるかな、などと関係ないことも考えていたが。
ただしグロテスクなシーンもあるので、小さい子にはちょっとつらい。次女は途中でこわがって泣き出してしまい、母親にしがみついたあとこわいもの見たさにまた見て泣く、ということを繰り返していた。
終わったあとは家族で、あそこがおもしろかった、あそこは本と違っていたと語り合った。おもしろい映画を観て満足そうな長女に「チョコレート食べたくなったか?」と聞いたら「別に」。チョコレートにあまり興味がないところは父親似である。