米中毒別館

思いついたことをこまごまと。本の感想なども。

誘拐作戦(都筑道夫)

誘拐作戦 (創元推理文庫)

誘拐作戦 (創元推理文庫)

1962年の作品。

無断借用のフォルクスワーゲンを乗り回す四人組と古色蒼然たるフォードの主が路上に倒れた女を見つけ、知った顔だと連れ帰ったのが運の尽き。脈は弱まるばかり、おまけに人違いらしいと臍を噛んだところへ、禍を転じて福となす妙案が。―キドナップだよ。この女のおやじから、身代金をしぼりとるのさ。どうだ。すばらしい廃物利用だろう。…かくて泥縄式の誘拐作戦は成りぬ。

いかにも安易に始まるように見える誘拐事件。誘拐ものは「無事身代金を受け取れるのか」という興味だけではおもしろくなりにくいからな...と思いながら読んでいくと、別のしかけがちゃんと用意されている。このへんはやはりうまい。名前を明かさない2人の書き手によって書かれた体になっているのが効果的に働いている。

七十五羽の烏」と同様、時々描写がやたら詳しくなるのがちょっと読みにくいのだが、全体のストーリーは大いに楽しめた。