全脳自由帳

より考えるために書く

死の内幕(天藤真)

大誘拐」ですっかりはまってしまった天藤真を引き続き読む。1963年に出た第2長編。

「困っちゃった、わたし、人を殺したの」結婚するから別れて欲しい、と言われ、かっとなって相手を突き飛ばしたところ、打ちどころが悪くて死んでしまった、という友人の告白を聞き、内縁関係にある女性で結成したグループの面々が架空の犯人をでっち上げたまでは良かったが、いないはずの人物に瓜二つの人間が実在したから話は混沌として…。予断を許さぬ展開と意外な結末!

並行して進む話が結局有機的に絡み合っていなくて、消化不良になってしまった印象。「すごい偶然」を持ち出すなら、それに見合う展開(偶然の「理由」でなくてもいいから)がほしい。結末もそう意外なものではなかった。

天藤真独特の、のんびりしているようでキリッとした文体は味わえるのだが...。次に期待!