- 作者: 森博嗣
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2003/07/15
- メディア: 文庫
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20年前に死んだ恋人の夢に怯えていたN放送プロデューサが殺害された。犯行時響いた炸裂音は一つ、だが遺体には二つの弾痕。番組出演のためテレビ局にいた小鳥遊練無は、事件の核心に位置するアイドルの少女と行方不明に……。 繊細な心の揺らぎと、瀬在丸紅子の論理的な推理が際立つ、Vシリーズ第4作!
4作目にして、やっとVシリーズの楽しみ方がなんとなくわかってきた気がする。これはおもしろかった。犯人の意外さとかトリックがどうとかフェアかアンフェアかとかいうことはあまり気にならない。話全体とそのテーマ、キャラクターの動きを楽しめればOK。
S&Mシリーズで対応する4作目「詩的私的ジャック」との共通点は芸能界ということか。タイトルのレトリックの秀逸さは「封印再度」に匹敵する。邦題は「夢で逢いましょう」のもじりで、英題はそれに似た発音になっており、かつどちらの意味もストーリーに合致している。
今回は小鳥遊練無が大活躍。語り手でもある保呂草潤平は一歩引いた感じ。本筋とは関係ないところに意外なしかけがあった。事件の解決には何の影響も及ぼさない事実だが、こういう遊びは楽しい。