全脳自由帳

より考えるために書く

名探偵 木更津悠也(麻耶雄嵩)

名探偵 木更津悠也 (光文社文庫)

名探偵 木更津悠也 (光文社文庫)

タイトル通り、木更津悠也ものの短編集。

資産家・戸梶康和が自宅の洋館で刺殺された。財産相続がからんでいるものの、遺族たちには、それぞれ完璧なアリバイがある。被害者の甥・彰敏が証言した幽霊の目撃談。そこから名探偵・木更津悠也が導きだした犯人とは―!?(「白幽霊」)
白い幽霊の出没に連動して事件が起こる4編で、名探偵・木更津悠也と助手役・香月実朝が名コンビぶりを発揮する!

わざわざ「名探偵」とついているのには意味がある。やはり麻耶雄嵩、メタなものが入っている。木更津悠也と語り役・香月実朝の関係がユニーク。これは「翼ある闇」を先に読んでおいた方が楽しめる。

最初の「白幽霊」は、この舞台設定を読者に理解させるためにあるような作品。トリックはオーソドックスだし。以降の作品にも白幽霊が関係してくる。マイベストは「禁区」。よくできた話だとうならされた。「交換殺人」はかなり複雑な話で、理解するのにしばらくかかった。最後の「時間外返却」の真相には唖然としてしまった。しかも2回。