- 作者: 桐野夏生
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2002/06/14
- メディア: 文庫
- 購入: 9人 クリック: 67回
- この商品を含むブログ (155件) を見る
- 作者: 桐野夏生
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2002/06/14
- メディア: 文庫
- 購入: 7人 クリック: 29回
- この商品を含むブログ (120件) を見る
深夜の弁当工場で働く主婦たちは。それぞれの胸の内に得体の知れない不安と失望を抱えていた。「こんな暮らしから抜け出したい」そう心中で叫ぶ彼女たちの生活を外へ導いたのは、思いもよらぬ事件だった。なぜ彼女たちは、パート仲間が殺した夫の死体をバラバラにして捨てたのか? 犯罪小説の到達点!
4人の主婦たちは、一度出たら二度と戻れないところにそれぞれのやり方でOUTする。今でいうワーキングプアがテーマになっているとも言えるが、それほど単純ではない。
この作品には明示的な「謎」は特に存在しないので、ストーリーとしては「どうなっていくのか」が興味の対象となる。ただし主人公の動機(殺人の動機ではない)が明確に描かれていない。上記の紹介文でいうと、「なぜ彼女たちは、パート仲間が殺した夫の死体をバラバラにして捨てたのか?」は明らかにされはしない。そのせいで前半は今ひとつ話に乗り切れなかった。
ただ、そのためにかえって終盤の「対決」の場面が強烈に心に残る。前半の猟奇的な「仕事」よりもインパクトは強かった。解説でも述べられている通り、「動機の不明確さ」は意識的にやっているはず。
読後感がよかったとは決して言えないが、あとを引く話だった。多分人によってかなり違った感想を持つと思う。
それにしても、表紙のこの物体、一体何なのか。読んだ後だと「氷の棺桶」に見えるが。