全脳自由帳

より考えるために書く

マリオネットの罠(赤川次郎)

新装版 マリオネットの罠 (文春文庫)

新装版 マリオネットの罠 (文春文庫)

500作以上あると言われる赤川次郎の作品をいろいろ読み出すときりがないから「三毛猫ホームズの推理」で終わりにしようと思っていたのだが、「セッション―綾辻行人対談集」で綾辻行人宮部みゆきがそろってこの作品が大好きだと言っていたので、読むことにした。

“私の事を、父は「ガラスの人形」だと呼んでいた。脆い、脆い、透き通ったガラスの人形だと。その通りかもしれない”…森の館に幽閉された美少女と、大都会の空白に起こる連続殺人事件の関係は? 錯綜する人間の欲望と、息もつかせぬストーリー展開で、日本ミステリ史上に燦然と輝く赤川次郎の処女長篇。

長編第1作(1977年)。赤川ミステリーの「軽くて明るい」というイメージに反して、これは暗い。しかし文体が軽いせいか、どんどん読める。

暗い話を読んでいくと自然と「なんとかハッピーエンドにならないものか...しかしそれではおもしろくないか」という複雑な気持ちになるのだが、こんな結末とは。例によって予想もつかなかったし、トリックは全然わからなかった。タイトルの意味も終わりになってわかる。難点は警察の捜査が若干手ぬるく感じることぐらいか。

読んでよかった。これで赤川作品は(再び)終わりにしよう。