全脳自由帳

より考えるために書く

びっくり館の殺人(綾辻行人)

びっくり館の殺人 (ミステリーランド)

びっくり館の殺人 (ミステリーランド)

講談社ミステリーランド」という子供向けの叢書に書き下ろされた作品。ではあるが、館シリーズの「正統な第8作」(作者あとがきより)であり、現在のところシリーズ最新作である。

子供向けだけあって1ページあたりの文字数が少ないから、ページ数の割には量が少なく、すぐ読める。そしてしかけもそんなに複雑ではなく、あまり「だまされた」という感じはしなかった。これまでの7作を読んできた蓄積から「こういう展開になるのでは?」と予想がつくところもあったし。最後はかなり「いかにも」な終わり方だった。

それでも綾辻作品的雰囲気は十分。これを子供が読むとどういう印象を持つのか想像するのは難しいが、こわくて「びっくり」できる小説には仕上がっているのではないだろうか。教訓めいた話も(子供向けだからといって必要かどうかはさておき)さりげなく入っている。

これで館シリーズを読破してしまった。綾辻氏はどこかに「10作まではいきたい」と書いていたと思うが、次作はいつ出るのだろう。気長に待つとしよう。

講談社ミステリーランドの他の小説も、評判を調べていくつか読んでみたい(装丁が立派な分、高いのが難点だが)。とりあえず「神様ゲーム」(麻耶雄嵩)は必ず読むつもり。